18世紀末、元末に紅巾の乱で弾圧されてからもひそかに活動を続けていた白蓮教徒が再び反乱を起こし、清はその鎮圧に苦しんだ。
また、好調だった貿易もイギリスが中国にアヘンを売り込み銀が海外に流出した。
そのころの清について、「イギリスの外圧」、「アヘン戦争」、「アロー戦争」、「太平天国」を学んでいきたい。
そこで、今回の内容はこちら
- イギリスの外圧
- アヘン戦争
- アロー戦争
- 太平天国
年表
いつ | できごと |
---|---|
1793年 | 英使節・マカートニー、清訪問。自由貿易を求めるが交渉失敗 |
1796年 | 白蓮教徒の乱がはじまる |
1816年 | 英使節・アマースト清訪問。交渉すらできず帰国 |
1840年 | アヘン戦争がはじまる。 1842年の終戦後に、南京条約を締結。 |
1851年 | 太平天国が起こり、漢民族の復興を唱えはじめる |
1853年 | 日本ではアメリカからペリー来航 |
1856年 | アロー戦争がはじまる。別名第二次アヘン戦争。 |
イギリスの外圧
片貿易に悩んでいたイギリスは、三角貿易を通じてアヘンを輸出することで貿易黒字を実現させ、清に対する影響力を増していった。
アヘンは常習すれば廃人となり死にいたる恐ろしい麻薬だが、中毒性があるため禁輸後も需要は減らず、密輸が続けられていた。
密輸の際に銀が支払われたため、清国内の銀相場が上がり、銀貨換算で納税をしていた民衆には実質的な増税となった。
■片貿易(17~18世紀)
清はヨーロッパ貿易を広州1港に限り、許可した商人にのみ貿易を独占させ利益を得ていた。
中国産の茶・絹・陶磁器はイギリスにはなくてはならない物で、代金として大量の銀が中国にもたらされていた。
■三角貿易(19世紀)
イギリスは産業革命により綿織物の大量生産が可能になり中国への輸出を試みるが、売れずに貿易赤字が続いたため、植民地のインドからアヘンを輸出し、清から銀で支払いを受けた。
アヘン常習者は1830年代末には500万人以上となった。
清は輸入禁止とするが、密輸が続くことになった。
アヘン戦争
清はアヘンの輸入を禁止し、取り締まりを行う大臣として林則徐(りんそくじょ)を広州へ派遣した。
アヘン2万箱を没収・焼却したところ、イギリスが強く反発し、「アヘン戦争」となった。
清の木造船に対して英国軍は軍艦で戦い、イギリスの圧勝となった。
■南京条約(1842年)
戦争後、両国は南京条約を締結するが、内容は不平等なものだった。
関税自主権もなく、治外法権や外国人居留地(租界)も認めたことで、中国の植民地化が進んだ。
- 5港(上海・寧波・福州・厦門・広州)の開港
- 香港島の割譲
- 自由貿易の解禁
- 賠償金2100万ドル
翌年1843年に追加
- 領事裁判権(治外法権)の承認
- 関税自主権なし
アロー戦争
広州湾に停泊中のアロー号に海賊の容疑をかけられた際に、中国での権利拡大をねらうイギリスやフランスは、「イギリス領の船が不当に扱われた」と主張し、アロー戦争を起こした。
北京郊外の離宮「円明園」は、英仏連合軍の侵攻によって廃墟となった。
■天津・北京条約
アロー戦争に敗れた清は、より不平等な天津条約と北京条約を列強と締結。
計11港の開港や外国公使の北京駐在、キリスト教の布教などを認めることになった。
太平天国
アヘン戦争のあと、清の人々は賠償金などによる重税に苦しんだ。
キリスト教の影響を受けた宗教団体を起こした洪秀全(こうしゅうぜん)は社会の変革をめざし、農民を率いて「太平天国」を建国。
南京を天京(てんけい)と改称して都とし、男女平等に土地を配分するなどの政策を推進したほか、アヘンや辮髪(べんぱつ)などの悪習も禁じて指示を集めた。
しかし、国内の勢力争いが激化し、最終的には、反発した地主や欧米の軍事力により鎮圧された。
まとめ
今回の内容をまとめると
- イギリスは、三角貿易でアヘンを輸出することで貿易黒字を実現させ、清に対する影響力を増していった。
- アヘンの中毒性により密輸が続いたため、アヘン2万箱を没収・焼却すると、イギリスが強く反発し、「アヘン戦争」となった。
- 清の木造船に対して英国軍は軍艦で戦い、イギリスの圧勝となった。
戦争後、両国は南京条約を締結するが、内容は不平等なもで、関税自主権もなく、治外法権や外国人居留地(租界)も認めたことで、中国の植民地化が進んだ。 - 広州湾に停泊中のアロー号に海賊の容疑をかけられた際、イギリスやフランスはイギリス領の船が不当に扱われたと主張してアロー戦争を起こした。
- アヘン戦争後、清の人々は賠償金などによる重税に苦しみ、キリスト教の影響を受けた宗教団体が農民を率いて「太平天国」を建国。しかし、国内の勢力争いが激化し、最終的には、反発した地主や欧米の軍事力により鎮圧された。
ではまた、ごきげんよう。